原田家 家紋原田 貴司原田貴司 花押エグゼクティブ・コーチ
組織・リーダーシップ開発ファシリテーター

2026年9月24日

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新卒採用の定着率を向上させる方法|早期離職を防ぐ仕組みづくり

原田貴司

新卒で採用した社員が、入社後に「聞いていた仕事と違う」と感じたり、配属先で力を発揮できなかったり、上司とのやり取りが噛み合わないまま離職につながったりするケースは少なくありません。採用・配属・育成がそれぞれ別の工程として進むと、こうした認識のズレが積み重なりやすくなります。

必要なのは、相互理解を個人の努力に任せず仕組みとして設計し、入社前から行動傾向を可視化しておくことです。定着率の基本的な考え方から、原因の捉え方、具体的な進め方までを順に見ていきます。

1. 新卒採用の定着率とは?基本の考え方

1.1 定着率と離職率の違い

定着率は一定期間後も在籍している人の割合、離職率はその期間に辞めた人の割合を示す指標です。どちらも、自社の採用や育成の状態を把握するための目安になります。

ただし、数字だけを見ても「なぜ残ったのか」「なぜ辞めたのか」までは分かりません。同じ定着率でも、採用時の期待値のズレ、配属のミスマッチ、上司とのコミュニケーションなど、背景にある原因は企業や部署によって異なります。

定着率を改善するには、割合そのものではなく、その数字が生まれた構造まで確認する視点が重要です。

1.2 新卒採用における早期離職の現状の見方

新規学卒者は、入社後3年以内に一定割合が離職する傾向があると一般に言われています。数値は業種や企業規模によって差があり、一律に語れるものではありません。

注意したいのは、早期離職を本人の忍耐不足として片づけないことです。多くの場合、採用時の説明と配属後の実態にズレがあり、そこから離職が積み重なっていきます。

現状を見るときは、「何割辞めたか」だけでなく「なぜ辞めたのか」を構造として捉える視点が欠かせません。原因を個人に帰すと、次の年も同じ離職が繰り返されがちです。

1.3 定着率を確認するときに押さえたい視点

定着率は一つの数字だけを見ても実態がつかめません。確認するときは、次の視点を合わせて見ることをおすすめします。

• 集計の対象期間

• 母集団の取り方

• 部署や職種別の内訳

• 入社年次ごとの比較

これらを分けて見ると、全体では問題がなくても特定の部署だけ離職が集中している、といった傾向が浮かび上がります。数字を分解して初めて、手を打つべき場所が見えてくるのです。

定着率は、同じ基準で継続的に確認することも重要です。施策の前後で数字の変化を追うことで、改善の手応えを確かめながら、次に見直すべきポイントを整理できます。

2. 新卒採用で定着率が下がる主な原因

2.1 採用から配属までで生じる期待値のズレ

定着率が下がる原因の中心は、採用から配属までに生じる期待値のズレにあります。募集時に描いた仕事像と、配属後に求められる現実が食い違うと、早い段階で迷いが生まれます。

期待値のズレは、次のような場面で起こりがちです。

• 募集時の説明と実際の業務内容の差

• 配属先の決め方への納得感の薄さ

• 求められる成果水準の認識の違い

• 評価基準やキャリアの見通しの曖昧さ

このズレは、個人の性格や世代の違いではなく、採用から配属までの設計が分断されていることから生じます。募集・選考・配属を別々の工程として扱うほど、認識の差は広がっていきます。

2.2 行動傾向の違いが生むコミュニケーションのすれ違い

上司と若手のすれ違いは、相性の問題ではありません。お互いの行動傾向の違いを理解する構造が欠けている状態として捉える必要があります。

人にはそれぞれ、指示の受け取り方や報告の仕方、意思決定の進め方に傾向があります。この傾向の違いが見えていないと、同じ言葉でも意図が伝わらず、誤解が積み重なっていきます。

行動傾向を可視化すると、相手に合わせた声かけや指示、雑談の設計が変わります。相互理解は気持ちの問題ではなく、行動傾向の可視化から始まるものです。可視化を踏まえることで、コミュニケーションは再現性のある形に構造化されていきます。

2.3 上司の関わり方が定着率に及ぼす影響

若手社員のモチベーションを大きく左右する要素の一つが、上司の日々の言動です。新卒社員の定着を考えるうえでも、制度だけでなく、直属の上司がどのように関わるかを構造的に見直す必要があります。

若手は上司の反応を手がかりに、自分がこの職場で受け入れられているかを判断します。相談したときの応答や、任せ方、フィードバックの仕方が、安心感や不安を左右するのです。

だからこそ、定着率の改善は若手への働きかけだけでは足りません。上司の関わり方を見直す視点を欠くと、離職の根本は残ったままになりかねません。

3. 定着率の向上に向けて押さえたい考え方

3.1 制度や環境整備だけでは定着率が上がりにくい理由

福利厚生や研修制度を充実させても、定着率が思うように上がらないケースがあります。制度は離職を防ぐ土台にはなりますが、日々の関係性までは設計できないためです。

若手が辞める背景には、制度の不足よりも、上司や同僚との関わりの中で感じる孤立や認識のズレがあります。ここに手が届かないと、制度を足しても効果は限定的です。

定着率を動かすには、制度整備と並行して、相互理解の構造そのものに目を向ける必要があります。環境を整えるだけでは届かない部分があるのです。

3.2 相互理解の不足を構造の問題として捉える視点

相互理解の不足は、気持ちや雰囲気の問題ではなく、仕組みが足りていない状態として捉え直すことが出発点になります。雰囲気づくりに頼ると、担当者が変わった途端に元へ戻ります。

仕組みで相互理解をつくるには、次の要素を備えることが有効です。

• 行動傾向を可視化する共通の指標

• 相互理解を前提にした対話の場

• 上司の関わり方を振り返る材料

• 配属や育成に活用できるデータ

これらを組み合わせることで、相互理解を個人の努力や相性だけに任せず、組織として支える構造をつくりやすくなります。

4. 定着率を向上させる具体的な方法

4.1 採用から配属までの期待値をそろえる進め方

期待値のズレを防ぐには、採用から配属までを一貫した流れとして設計します。工程ごとに担当が分かれていても、認識をつなぐ仕組みが必要です。

1. 募集段階で業務内容と求める成果水準を具体化する

2. 入社前に行動傾向や強み・特性・学習傾向を可視化する

3. 配属前に本人の特性と職務との適合を確認する

4. 入社後に期待値を上司と本人ですり合わせる

この順で進めると、「聞いていた話と違う」という早期の離職要因を減らせます。一つひとつの工程でそろえた認識を、次の工程へ引き継ぐことが定着の土台になります。

4.2 相互理解を広げて安心して働ける状態をつくる

相互理解を広げる具体策として、Everything DiSC®カタリストによる行動傾向の可視化があります。自分と相手の傾向が同じ指標で見えると、すれ違いの原因を個人の問題にせずに扱えます。

行動傾向を理解した上司は、部下への声かけや指示、任せ方を相手に合わせて調整できます。若手側も、自分の傾向を知ることで、報告や相談の仕方を見直せるようになります。

相互理解は行動傾向の可視化から始まり、対話を重ねることでチーム全体に広がります。共通の指標で傾向を語れるようになると、誰の意見が正しいかではなく、傾向の違いをどう補い合うかという建設的な話し合いへ変わっていきます。

こうした仕組みは、担当者の力量や相性に左右されにくいという利点があります。行動傾向という客観的な軸を置くことで、安心して働ける状態を個人の努力任せにせず、再現性のある形で少しずつ整えていけます。

4.3 配属適合と自己理解を深めて定着率を高める

配属のミスマッチを防ぎ、本人の納得感を高める方法として、ProfileXT®の活用があります。このアセスメントには、大きく二つの用途があります。

• 配属適合:人材と職務のマッチングを数値で把握し、適材適所につなげる

• 自己理解の深化:強み・特性・学習傾向を把握し、成長の方向を定める

配属適合の視点からは、本人に合った仕事に就くことで成果が出やすく、苦手な業務で消耗しにくい状態が生まれます。自己理解の視点からは、自分の特性がわかることで成長の実感につながります。適した配置と自己理解の両輪が、定着率を内側から支えるのです。

4.4 上司の関わり方を行動改善につなげる

上司の関わり方を改善する方法として、CheckPoint 360°™があります。これは部下を持つ上司に用いるもので、新入社員の自己理解には使いません。若手とのすれ違いを減らすには、上司側の行動改善のほうが効果が大きいためです。

CheckPoint 360°™は、人としての価値を評価するものではありません。観察時点までに周囲が実際に見た行動だけを扱い、良し悪しではなく傾向を整理する、行動改善のための構造的な材料です。

上司が自分の言動を客観的に振り返ると、部下のモチベーションを下げていた関わり方に自分で気づき、改善につなげられます。若手への施策と上司への施策を分けて設計することが、定着率の改善を確かなものにします。

4.5 入社前から行動傾向の可視化を始める

定着率の改善は、入社後を待つ必要はありません。内定者フォローを、懇親会や面談にとどめず、可視化ツールを使うグループセッションとして設計する進め方が考えられます。

入社前に取り入れたい要素は次のとおりです。

• 内定者の行動傾向を可視化する

• 同期同士の相互理解を促すグループセッション

• 上司と内定者の期待値の調整

• 配属を見据えた関係性の事前設計

入社前に傾向の違いを共有しておくと、初日からの関係づくりが進めやすくなります。早い段階で相互理解の土台を用意することが、入社後のすれ違いを抑える助けになります。

また、入社前の可視化は、受け入れる側の準備にも役立ちます。配属予定の部署が新入社員の傾向を事前に把握しておけば、最初の指示の出し方や任せる仕事の選び方を調整でき、立ち上がりのつまずきを減らせます。

5. 原田貴司による人材開発と組織開発の支援

5.1 定着率に悩む企業のどんな課題に向いているか

定着率の数字だけを追っても改善の糸口が見えない、という企業は少なくありません。原田貴司の支援は、離職の背景にある構造的な課題に向き合いたい企業に向いています。

特に次のような状況で活用しやすい設計です。

• 採用時と配属後で期待値がずれている

• 若手と上司のコミュニケーションがすれ違う

• 上司の関わり方が定着に影響している

• 相互理解が個人任せになっている

こうした課題は、単発の研修では解決しづらいものです。構造に踏み込んだ支援を求める場合に、原田貴司の人材開発・組織開発支援が選択肢になります。

5.2 複数アセスメントを一貫して活用できる支援体制

原田貴司の支援では、対象と目的に応じて複数のアセスメントを使い分けます。Everything DiSC®カタリストで新入社員・上司・チームの相互理解を促し、ProfileXT®で配属適合と本人の自己理解を深めます。CheckPoint 360°™は新入社員には使用せず、部下を持つ上司の行動改善に活用します。

これらのアセスメントを単独で導入するのではなく、採用から配属、入社後の相互理解、上司の行動改善までを一つの構造として設計する点が支援の特徴です。

個別のツール導入で終わらせず、各段階で得た情報を次の育成やマネジメントにつなげて活用できます。詳しい取り組みは原田貴司による人材開発・組織開発の支援で確認できます。

5.3 導入を検討する際に確認しておきたいこと

導入を検討するときは、まず自社でどのようなすれ違いや定着上の課題が生じているのかを整理することが重要です。

採用から配属までの期待値にズレがあるのか、行動傾向の違いを理解する仕組みが不足しているのか、上司側の行動改善が必要なのかによって、活用するアセスメントや支援の内容は異なります。

ツールを導入すること自体を目的にせず、自社の課題に応じて必要な構造を設計することが重要です。

6. 新卒採用の定着率に関するよくある質問

6.1 定着率と離職率はどう違うのですか?

定着率は一定期間後も在籍している人の割合、離職率はその期間に辞めた人の割合を示す、対になる指標です。

どちらも組織の状態を把握する目安にはなりますが、数字だけでは「なぜ残ったのか」「なぜ辞めたのか」までは分かりません。改善につなげるには、測る期間や対象をそろえたうえで、採用時の期待値や配属、上司との関わりなど、数字の背景にある要因まで確認することが重要です。

6.2 新卒採用のすれ違いは相性の問題なのですか?

相性の問題ではありません。すれ違いの多くは、採用から配属までの期待値のズレと、相互理解の構造が足りていないことから生じます。

人にはそれぞれ行動傾向があり、その違いが見えないまま関わると、同じ言葉でも意図が伝わりません。これは個人同士の合う合わないではなく、傾向を可視化して共有する仕組みがない状態です。行動傾向を指標でそろえれば、すれ違いは構造的に減らせます。

6.3 定着率の向上は何から始めるべきですか?

制度を足す前に、相互理解と行動傾向の可視化から始めることをおすすめします。福利厚生や研修を充実させても、日々の関係性のズレが残れば離職は続きます。

まずは採用から配属までの期待値をそろえ、上司と若手の行動傾向を可視化して相互理解の土台をつくります。そのうえで、上司の関わり方を振り返る仕組みを加えると、改善が定着します。構造に目を向けることが、遠回りに見えて確実な出発点です。

7. まとめ:新卒採用の定着率向上は構造づくりから始めよう

新卒採用の定着率は、待遇や制度だけでは上がりにくく、採用から配属、上司の関わりまでに生じる認識のズレが離職の背景にあります。原因を個人の性格や相性に求めず、相互理解の構造が足りていない状態として捉え直すことが出発点です。

具体的には、採用から配属までの期待値をそろえ、行動傾向を可視化して相互理解を広げ、上司の関わり方を行動改善につなげる流れが有効です。Everything DiSC®カタリストとProfileXT®を新入社員の相互理解や配属、自己理解に活用し、部下を持つ上司にはCheckPoint 360°™を用いて行動改善につなげることで、定着を個人任せにせず構造的に支えます。

定着率の向上は、気持ちや雰囲気に頼るのではなく、構造づくりから始めてみてください。入社前の可視化から着手すれば、すれ違いを抑えながら、安心して働ける状態を無理なく広げていけます。

新卒採用の定着率向上を仕組みで支える原田貴司の人材・組織開発支援

原田貴司は、三つのアセスメントを新卒から上司まで一貫して活用し、相互理解を個人任せにせず仕組みとして支えます。構造から課題に向き合いたい企業に向く設計なので、まずは自社に合うかを確認してみてください。

離職の背景にある構造的な課題への具体的な進め方は、次のページで確認できます。
原田貴司|新卒育成の一貫支援(人材・組織開発)